2008年05月21日
Women's Abortion Rights*合法的中絶②
さて、前回に引き続きイギリスの妊娠中絶のことを・・・
今ごろ、国会での議論の結論が出ているかと思いますが、それは後ほど報告するとして、イギリスの妊娠中絶について、法律の歴史をたどりながら変遷をたどりたいと思います。
参考にしたのは、Abortion Rightsのサイトと、女性団体が国会議員に読むように勧めて!と紹介していたレポート’Science and Technology Committee report’です。
このレポートをしっかり読みたい方はこちらのサイトへ→
http://www.publications.parliament.uk/pa/cm200607/
cmselect/cmsctech/1045/1045i.pdf
(2段に分かれてしまうので、アドレスをコピーして下さい)
Abortion Rights の歴史紹介コーナーはこちら→
http://abortionrights.org.uk/content/view/18/117/
英国で、妊娠中絶に関する法律が最初にできたのは13世紀のことでした。法律は、「胎児が胎動を始めた時」から生命が宿るというキリスト教の教えに基づいていて、この視点はその後何世紀にもわたって続きました。
1803年 The Ellenborough Act
胎動が動き始めてから中絶をした場合は死刑。動き始める前だと少し刑が軽くなる。
1837年に法改正があり、胎動が始まる前か後かは関係なく、中絶したらダメになる。
1861年 The Offence Against the Person Act
中絶をしたり人工的に流産したり(self-abort)したら終身刑。
1929年 The Infant Life Preservation Act
母体の生命が危険なケースを除き、生まれてくる可能性のある乳児を殺したら、乳児殺害罪という新たにつくられた罪(new crime of kiliing a viable fetus)になる。ここでは、可能性のある乳児を28週以上の乳児としていました。
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さて、1929年の法律から次の法律ができるまでには38年の年月が流れます。
この期間のイギリスの女性たちの実態を紹介したいと思います。
これまでの法律は、言わば女性の生命をコントロールしていました。
しかし、実態としては、望まぬ妊娠や、中絶が必要な非常事態がなくなることはないので、数えきれないほどの女性たちが非合法の中絶にすがり(resorted to back-street abortionists)、その結果健康を害したり死に到ったりしました 。妊娠しないための薬(鉛を使った安価な薬)を飲んで失明した女性が多数でたこともあったそうです。
1923年から33年の10年で死亡した母親の15%が非合法な妊娠中絶でした。1930年代になって女性団体や国会議員が生命の損失と健康へのダメージを憂慮して、法改正に向けて議員連盟をつくる動きが出てきました。
1939年、政府は、手術によって女性の生命は守られるのか明らかにするための委員会を設置しました。しかし、第二次世界大戦が始まってしまい、中断してしまいました。
戦後、1950年代になって、改革推進の動きが高まり、1960年代には女性運動のうねりの中で、出産を自らコントロールする方法(fertility control)が広がりました。しかし、非合法の妊娠は多くの女性の健康を害したり死にいたらしめたりしました。
こうした現実を変えるべく、女性団体が粘り強く活動を続け、最終的に1967年の法律につながりました。
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1967年 The Abortion Act
2人の医師の証明があれば合法的に中絶を選択できるという法律。
条件としては①から⑤まであって、
①妊娠を続けることが母体の生命の危険につながる場合
②妊娠を続けることが妊婦に後遺症を残す可能性がある場合
③24週以内で、①や②に相当する場合
④24週以内で、妊娠を続けることがすでに生まれて生活している子供の健康の健康に影響を与える場合
⑤胎児が重度障害をもって生まれてくる可能性がある場合
とされています。
☆この1967年の法律は、女性の自己決定と平等を促進する上で不可欠の法律と評価され、合法的に中絶するを選択する権利を40年以上守ってきたことを、女性団体は関連する労働団体や学生団体と共に誇りに思ってきたそうです。
1990年 The Human Fertilisation and Embryology Act
(Fertilisationは生殖、Embyuologyは胎生;なんて訳せばいいんだろう?)
この1990年にできた法律は、1967年の法律を修正したものです。
合法的中絶期間が24週になったのは、この1990年の法律によって28週から24週に期間が削減されたことが要因になっています。
この削減の背景には、1985年に報告された’Fetal Viabilit and Clinical Practice’というレポートがあって、24週を過ぎると胎児は人間としての生命が宿るという主張が1990年の削減につながったそうです。
イギリスにも中絶に関する長い歴史があったのですね。
そして、今回、1967年の法律の40周年を迎えた直後、この法律の改正が浮上したわけです。
新聞を読むと、議論の中心が「胎児の命をどう評価するか」に偏っていると批判されています。女性の権利保障という視点は薄れているように思えます。
それでは・・・
今ごろ、国会での議論の結論が出ているかと思いますが、それは後ほど報告するとして、イギリスの妊娠中絶について、法律の歴史をたどりながら変遷をたどりたいと思います。
参考にしたのは、Abortion Rightsのサイトと、女性団体が国会議員に読むように勧めて!と紹介していたレポート’Science and Technology Committee report’です。
このレポートをしっかり読みたい方はこちらのサイトへ→
http://www.publications.parliament.uk/pa/cm200607/
cmselect/cmsctech/1045/1045i.pdf
(2段に分かれてしまうので、アドレスをコピーして下さい)
Abortion Rights の歴史紹介コーナーはこちら→
http://abortionrights.org.uk/content/view/18/117/
英国で、妊娠中絶に関する法律が最初にできたのは13世紀のことでした。法律は、「胎児が胎動を始めた時」から生命が宿るというキリスト教の教えに基づいていて、この視点はその後何世紀にもわたって続きました。
1803年 The Ellenborough Act胎動が動き始めてから中絶をした場合は死刑。動き始める前だと少し刑が軽くなる。
1837年に法改正があり、胎動が始まる前か後かは関係なく、中絶したらダメになる。
1861年 The Offence Against the Person Act中絶をしたり人工的に流産したり(self-abort)したら終身刑。
1929年 The Infant Life Preservation Act母体の生命が危険なケースを除き、生まれてくる可能性のある乳児を殺したら、乳児殺害罪という新たにつくられた罪(new crime of kiliing a viable fetus)になる。ここでは、可能性のある乳児を28週以上の乳児としていました。
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さて、1929年の法律から次の法律ができるまでには38年の年月が流れます。
この期間のイギリスの女性たちの実態を紹介したいと思います。
これまでの法律は、言わば女性の生命をコントロールしていました。
しかし、実態としては、望まぬ妊娠や、中絶が必要な非常事態がなくなることはないので、数えきれないほどの女性たちが非合法の中絶にすがり(resorted to back-street abortionists)、その結果健康を害したり死に到ったりしました 。妊娠しないための薬(鉛を使った安価な薬)を飲んで失明した女性が多数でたこともあったそうです。
1923年から33年の10年で死亡した母親の15%が非合法な妊娠中絶でした。1930年代になって女性団体や国会議員が生命の損失と健康へのダメージを憂慮して、法改正に向けて議員連盟をつくる動きが出てきました。
1939年、政府は、手術によって女性の生命は守られるのか明らかにするための委員会を設置しました。しかし、第二次世界大戦が始まってしまい、中断してしまいました。
戦後、1950年代になって、改革推進の動きが高まり、1960年代には女性運動のうねりの中で、出産を自らコントロールする方法(fertility control)が広がりました。しかし、非合法の妊娠は多くの女性の健康を害したり死にいたらしめたりしました。
こうした現実を変えるべく、女性団体が粘り強く活動を続け、最終的に1967年の法律につながりました。
・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・
1967年 The Abortion Act2人の医師の証明があれば合法的に中絶を選択できるという法律。
条件としては①から⑤まであって、
①妊娠を続けることが母体の生命の危険につながる場合
②妊娠を続けることが妊婦に後遺症を残す可能性がある場合
③24週以内で、①や②に相当する場合
④24週以内で、妊娠を続けることがすでに生まれて生活している子供の健康の健康に影響を与える場合
⑤胎児が重度障害をもって生まれてくる可能性がある場合
とされています。
☆この1967年の法律は、女性の自己決定と平等を促進する上で不可欠の法律と評価され、合法的に中絶するを選択する権利を40年以上守ってきたことを、女性団体は関連する労働団体や学生団体と共に誇りに思ってきたそうです。
1990年 The Human Fertilisation and Embryology Act (Fertilisationは生殖、Embyuologyは胎生;なんて訳せばいいんだろう?)
この1990年にできた法律は、1967年の法律を修正したものです。
合法的中絶期間が24週になったのは、この1990年の法律によって28週から24週に期間が削減されたことが要因になっています。
この削減の背景には、1985年に報告された’Fetal Viabilit and Clinical Practice’というレポートがあって、24週を過ぎると胎児は人間としての生命が宿るという主張が1990年の削減につながったそうです。
イギリスにも中絶に関する長い歴史があったのですね。
そして、今回、1967年の法律の40周年を迎えた直後、この法律の改正が浮上したわけです。
新聞を読むと、議論の中心が「胎児の命をどう評価するか」に偏っていると批判されています。女性の権利保障という視点は薄れているように思えます。
それでは・・・
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この記事へのコメント
中絶に関する英国の議論の変遷がレビューできて大変役に立ちました。
どうもありがとうございます。リーズにいらっしゃるのですね。
結局、国会は否決しましたね。
女性の権利はいいのですが、母親の生命と新しい生命のどちらも救う方法はないものかと考えてしまします。
「その時点」で、「人間の目から見た場合」に「望まれない」新しい生命はあるかもしれませんが、長い目で見た場合、この世に望まれない生命というのがあるのか、そこまで不完全な人間が判断していいものか、判断することの畏れからとにかく二つの生命を守るために、自分たちや社会は何をすることが必要なのかにもっと議論の方向がいけばいいのにと思います。
難しい問題ですけれどね。
またその後のレポートを楽しみにしています。
どうもありがとうございます。リーズにいらっしゃるのですね。
結局、国会は否決しましたね。
女性の権利はいいのですが、母親の生命と新しい生命のどちらも救う方法はないものかと考えてしまします。
「その時点」で、「人間の目から見た場合」に「望まれない」新しい生命はあるかもしれませんが、長い目で見た場合、この世に望まれない生命というのがあるのか、そこまで不完全な人間が判断していいものか、判断することの畏れからとにかく二つの生命を守るために、自分たちや社会は何をすることが必要なのかにもっと議論の方向がいけばいいのにと思います。
難しい問題ですけれどね。
またその後のレポートを楽しみにしています。
Posted by よし at 2008年05月21日 20:02
よし様
はじめまして!コメントありがとうございました。
数日、パソコンから離れた生活をしていたため、お礼を申し上げるのが遅くなってしまいました。
はい、最終的に国会は否決し、24週は守られました。
この問題については、当日、テレビや新聞のトップニュースとして扱われていて、関心の高さを示していました。
ただ、メディアは24週前の胎児の写真を紹介して、人間の形になっていることを強調する傾向が強く、母親へのまなざしが薄かったです。
重度の障害の可能性が高い胎児は24週を過ぎても中絶が可能・・・ということに対しては、最後まで議論にのぼりませんでした。障害者団体は、何らかのアクションを起こしたかもしれませんが、広くは伝わらなかったようで、私も情報をみつけられずにいます。私はこの点がどうしてもわからないので、いろいろ調べてみようと思っています。
また、お役に立てる情報を提供できるよう、アンテナをはってあちこち回ろうと思います。
それでは!
はじめまして!コメントありがとうございました。
数日、パソコンから離れた生活をしていたため、お礼を申し上げるのが遅くなってしまいました。
はい、最終的に国会は否決し、24週は守られました。
この問題については、当日、テレビや新聞のトップニュースとして扱われていて、関心の高さを示していました。
ただ、メディアは24週前の胎児の写真を紹介して、人間の形になっていることを強調する傾向が強く、母親へのまなざしが薄かったです。
重度の障害の可能性が高い胎児は24週を過ぎても中絶が可能・・・ということに対しては、最後まで議論にのぼりませんでした。障害者団体は、何らかのアクションを起こしたかもしれませんが、広くは伝わらなかったようで、私も情報をみつけられずにいます。私はこの点がどうしてもわからないので、いろいろ調べてみようと思っています。
また、お役に立てる情報を提供できるよう、アンテナをはってあちこち回ろうと思います。
それでは!
Posted by リーズだより
at 2008年05月25日 02:00
at 2008年05月25日 02:00


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